創作日誌 12/8(金)

本日の稽古は、某有名コメディを映像で見て、自分らでやってみようの回。

 

わたしもここ数年アガリスクに関わっていますが、こんな稽古は初めてでした。
なので、正直どういう手ごたえがあったかと言うと、
「???」な感じですが(楽しかったですが)、
冨坂さんとしては収穫があったよう。

今回はあの「某有名コメディ」のコピー稽古。
何がやりたかったかと言うと「筋書きどおりにいかなくなってしまったプログラムをどうにかしようとするバックステージコメディのクライマックス」を、実践してみようってことだったんですね。

はい、察しの良い方はもう作品名が頭に浮かんでいるかもしれませんね。
とりあえずそれは置いといて…

まず配役どうしようかーとなった時に、
最初は性別どおりにふっていたものの、「やっぱやめた」と冨坂さん。

『卒業式、実行』の役柄とかポジションをなるべく守った配役にふりなおし。

 

その某コメディは映画だったのですが、「舞台でやったらこうなるな」「これ舞台だったらめちゃくちゃウケるシーンになるな」など、映像と演劇との違いなども発見しつつ、ざざっとですが何度かシーンを通してみました。

個々の課題も見えたりしつつ、「要はこういうことを我々もやります」てなわけで、予行演習的な感じにもなった稽古でした。

クライマックスをどのように切らさずに落とさずに演じれるか。
脚本ももちろん大事なのですが、俳優の頑張りどころでもあるわけですね。

と、今回はふんわりめな日誌になったところで、
冨坂さんからズビシっと語っていただきましょう。

 

 

冨坂ノート

今日は、『卒業式、実行』のクライマックスの雰囲気を掴んでもらうために、そして俺が作り方の勉強をするために、別作品を題材に稽古。生放送中のラジオ局を舞台にした某有名バックステージコメディ映画の後半部分を皆で鑑賞し、そのあとに文字起こししたその芝居を、生で、稽古場で演じてみる、コピー稽古。
元は舞台だったものを本人が映画化した作品なので、舞台版もあるんだけど、個人的には映画版の方が好みだし、『卒業式、実行』で参考にしたいのは映画版のクライマックスなので、媒体の違うこちらをセレクト。
俳優陣には、クライマックスの「作戦を実行する感」を経験して欲しかったのと、冨坂が演出の仕方を考えるレッスンとして行った。

「作戦を実行する感」については、今までもクライマックスで皆でミッションを達成する芝居ばっかりやってきたんですが、いかんせん同じ空間で「会議」という形態でやってばかりだったので、場面を飛ばす、それぞれが遠隔地にいる状態で、それが出来るのか?っていう。
演出面では、映画でカットバックやBGMの存在で盛り上げていたものを、それらを使わずに同じ成果を得るためにはどうしたらいいか、っていう。ある程度は想像してたけど、あんまりプランとして固めて行かずに、「ここの台詞順番入れ替えて」とか「ここはこの人の長台詞をBGMがわりにして」などその場でザクザク決めてみた。本当はもうちょっと台詞を加筆したり修正して、複雑な歌割りの歌みたいに、掛け合いのラップみたいに組んでいくとアガるんだけど、そこまでやると別の作業になっちゃうので抑えつつ。

書き起こしと今日の稽古での指示で、とても勉強になった。

印象的だったのは、榎並演じるディレクターがそれぞれの持ち場にいる皆にキューを出すところ。
一通りやってみて「なんか榎並が仕切ってる感がねぇなぁ」と思ったので考えてみたら、多分、理想のタイミングよりキューが一瞬早い。キューを出された人の次の台詞があるべきタイミングに収まるように、台詞から逆算して合図をしている。次の人の台詞がまずあって、それに合わせてキューを出している。
つまり指示を出しているのではなく、次の台詞によって「指示を出させられている」。これのせいだな、と。
次の人の台詞がジャストで入れるように逆算して合図のタイミングを決める、それ自体は間違っていない。でもどちらが主でどちらが従なのか。どこが「起」なのかはハッキリさせないといけない。
仮に同じ言い回し・同じタイミングで台詞やアクションが配置されていても「どっちを起点に演技が組み立てられているか」によって、ここまで印象が変わるのか、という発見。
多分、「間」とか「言い回し」に分類できない、知覚できないレベルの細かくて曖昧な無数のアクション/リアクションが積み重なってそういう印象になるんだろうなぁと思う。

そして「映像(画面の向こう)と舞台(目の前)で笑いの量が変わるネタ」と「変わらないネタ」の差異について考えた。
そりゃ基本的に生の方が笑えるってのは常識なんだけど。その中でも、その減衰率がネタによって大きく違うな、というのを再確認。
映像でもある程度面白く、生でやってもある程度面白いネタもあった。その一方、映像でやると「楽しいなー」くらいのネタなんだけど、生でやると(稽古してない我々がパッとやっても)すごい笑えるネタがあった。
何の差なんだろう。どういう傾向なんだろう。(「身内がやってるから」ではないと信じたい)
今のところ思うに、動きでもセリフでも「ノイズ」の多いネタほどその差が大きいような気がしてる。